2012年9月5日水曜日

第二節 インテル×ローマ 考察感想編①~こちら中央戦線異常有り

まずは今回召集された面子を確認してみましょう。


-スターティングメンバー -

GK

24:GK
マールテン・ステケレンブルフ


第二節 スターティングメンバー
DF

5:CB  
レアンドロ・カスタン   
 
29:CB 

ニコラス・ブルディッソ  

23:RSB
イバン・ピリス     

42:LSB
フェデリコ・バルザレッティ

MF

16:RCM
ダニエレ・デ・ロッシ
 
47:LCM
アレッサンドロ・フロレンツィ

77:CM 
パナギオティス・タクシディス

FW

10:LWG
フランチェスコ・トッティ

9:CF
パブロ・ダニエル・オスバルド

22:RWG
マッティア・デストロ



-サブメンバー -

GK

55:スヴェド・カウスカス

DF

  3:マルキーニョス      
46:アレッシオ・ロマニョーリ 

MF

 7:マルキーニョ            
11:ロドリゴ・タッデイ
15:ミラレム・ピアニッチ   

FW

 8:エリック・ラメラ
17:ニコラス・ロペス
26:ガジ・タッロ




第一節の布陣と変わった第二節の布陣

今節も前節に引き続きフォーメーション配置は4-3-3変わらず。

しかし様変わりした箇所が4点程あった。

最初に前節と今節のフォーメーションの見取り図を比較してみよう。


※前節は背番号振ってない事に理由はありません。振り忘れです。



第一節カターニア戦
















今回の第二節インテル戦





















これ等2つの図を比較した上で、誰がどう変更されているのか。
見比べば分かる事ではあるが、第二節の図にその箇所を囲んでみる。



変更された箇所








前節配置されてた人間は白

























さて、今回フォーメーションを見た上で一番注目された点は



  • 中盤3枚の全配置変更
  • 中盤3枚の内、21歳の若手二人の起用
  • 右WGはラメラでは無く、新加入のデストロ(本職CF)の右WG起用

これら3点の事が一番フォーメーションを見た上での焦点となりました。


何故中盤の配置がガラッと変わる事になってしまったのか?


ブラッドリー



















事の発端は 前節でRCMのポジションに入っていた、ブラッドリーの負傷離脱から始まります。

ブラッドリーは前節で引いて守りを固めるカターニアに対し


  • 持ち前の縦への推進力の高さと
  • 後半でも大きく活きてくるスタミナ量と運動量、
  • そしてフィジカルコンタクトの強さ

これらのパフォーマンスを見せ、ペナルティエリアへの侵入とインターセプトを多々こなし屈強な身体を張れるCMFとして数々の決定機を作り、ローマでの評価を一層向上させました。

プレシーズン、そしてセリエA経験者としての実績、開幕戦での好調具合であった彼。
尚且つ、何よりもインテルのフィジカルが強固な布陣と拮抗して戦う為に彼が絶対必要でした。

しかしそのブラッドリーも右大腿骨の損傷により約3週間~4週間の離脱となり、
ブラッドリーを欠ける事になったインテル戦において誰を起用してくるのか。

これが全ての始まりとなりました。



続く災難 ピアニッチの負傷


ピアニッチ














ブラッドリー抜いたローマの中盤布陣が様々議論される中、インテル戦2日前に緊急事態が発生。

LCMとして開幕戦で先発で使われ、昨季、今季共に活躍が期待されるであろう、これまた中盤のピアニッチが筋肉疲労による損傷により、前日病院送りという事態になってしまいました。

検査結果、大した怪我では無かったものの、ここでまたもや中盤の配置図を考え直さなくてはならない事態に。

更にこの事態を受け止め、多くの新聞社の記事は
「怪我は問題無い。彼はインテル戦へ召集が決定。起用の確率が高い」という見解。
現実的にインテル戦において、経験値の高いピアニッチが起用されるという見方は多数であり、この大一番で若手を起用するゼーマンなのだろうか?という見方が大方の見方となっていました。


ゼーマンの前日の練習では勿論の事ピアニッチ抜きでの練習が行われます。
その布陣が今回のスターティングメンバーとなったのですが、試合前日は
ピアニッチは出場可能性は高いが、怪我の大事を見る可能性だって有り得る。
など、ますます中盤に関して様々な議論を深めさせていく一方となりました。




ゼーマンの采配はいかに ここで別れる分岐点

こうして前日までに様々なトラブルが起こった中盤のフォーメーション騒動。
更にはデロッシまでもが筋肉疲労か?とまで心配され、言われる事態に。

現在屈強なフィジカルを持つ選手が比較的沢山居るであろう、インテルに対しどう攻めるのか?


私は何点かに分けてゼーマンは布陣を練ってくるだろうと考えました。



  • ピアニッチをサブにした上での、フィジカル型パーティーへのシフト
  • ピアニッチをサブにした上での、パスワーク型パーティーへのシフト
  • ピアニッチをサブにした上での、バランス型パーティーへのシフト


  • ピアニッチの起用をした上での、パスワーク型パーティーへのシフト
  • ピアニッチの起用をした上での、バランス型パーティーへのシフト


主にピアニッチの起用を焦点にして、分けて考えると5通りの構成が考えられました。

どのような中盤に特色を持たせ屈強なフィジカルを持つインテルに対して攻めに転じるか?

  • インテルの中盤のフィジカルに拮抗させていく(フィジカル型パーティー)
  • インテルの中盤と終盤の穴を付いていく(パスワーク型パーティー)
  • 線引きはせずにどのような局面でも対応できるようにする(バランス型パーティー)


試合前日、私の予想としてはインテル戦において、ピアニッチは前日の練習に参加していない、そして大事を見る事になるだろう。などという推測の元、やはりピアニッチ抜きでのフィジカルで拮抗できる人数を多く重用してくるであろうと考えた結果

  • ピアニッチをサブにした上での、フィジカルパーティーへのシフト

になるのではないだろうか?と予想を立てました。

何も予想と言っても、条件に埋め合わせれるのでばこうでしか無いと思ったのです。


色んな事を踏まえた上での個人的な予想フォメ





















 7番 マルキーニョ
77番 タクシディス  の起用を予想



7番 マルキーニョ



















特徴
  • 攻撃的なCMF
  • レフトサイドのポジション全般が得意(左が上手い)
  • フィジカルは屈強な部類
  • 前線への飛び出しが非常に高い
  • 縦への推進力がある

77番 タクシディス



















特徴

  • 攻撃型のCMF
  • フィジカルの強さは特筆して長けている
  • 正確なロングフィード能力
  • 視野が非常に広い
  • MFでは珍しい191㎝という高さの選手である

※タクシディスは9月2日の選手紹介の欄より引用


まず主に中盤使える面子を羅列させてみる
更にタイプ分けをしてみよう(バランス→バ/フィジカル→フ/パス→パ)



  •  7:マルキーニョ(フ)
  • 11:ロドリゴ・タッデイ(バ)   
  • 15: ミラレム・ピアニッチ(パ)
  • 16:ダニエレ・デ・ロッシ(バ)       
  • 48:アレッサンドロ・フロレンツィ(バ)  
  • 77:パナギオティス・タクシディス(バ)  



この内、ピアニッチは入らないだろうと想定の元なので



  •  7:マルキーニョ(フ)
  • 11:ロドリゴ・タッデイ(バ)   
  • 16:ダニエレ・デ・ロッシ(バ)       
  • 48:アレッサンドロ・フロレンツィ(バ)  
  • 77:パナギオティス・タクシディス(バ)



↑この中でフィジカルが強い三人をピックアップすると



  •  7:マルキーニョ 
  • 16:ダニエレ・デ・ロッシ       
  • 77:パナギオティス・タクシディス




つまり必然的に私はマルキーニョ/タクシディスの起用をしてくると考えました。


特にタクシディスに関しては、フィジカルに定評がある選手であると同時に
視野、フィード性能、長身による空中戦で勝利が見込める という事もあって
今節では必ず起用をしてくる選手ではないだろうか?と個人的には踏んでいました。

マルキーニョに関しても、共に左に布陣しているバルザレッティ、トッティの縦の陣営の中に入れば、縦への推進力が加速し、攻撃面においても大きく機能できるのでは無いかと考えられます。



ゼーマンの選択はバランス型を選択した

そして一番上にも記載したように、スターティングメンバーの選手はこうです。


スタメン図(同じものを何度も貼って申し訳ない)




















デロッシ、タクシディスはフィジカルに定評を持つ選手です。
ある意味この二人は非常にプレースタイルが似ている部分があります。

その加えて投入したのは
ピアニッチでもマルキーニョでも無く、若き21歳のCMFである、フロレンツィでした。



アレッサンドロ・フロレンツィ




















特徴



  • 万能型のCMF
  • グラウンダーによる正確なパス精度
  • 飛び出しなどを含め、縦への推進力が全体的に高い
  • FK精度、クロス精度が非常に高く、セットプレーが得意



※9月2日の選手紹介の欄より引用




私の予想は見事に外れてしまった訳ですが、やはり彼の起用というのには驚きました。
前節で途中交代で起用されたものの、まだAデビューも経って間も無い若手を起用しました。
しかしフロレンツィ自身も、U-21イタリア代表としての活躍、更にクロトーネ時代での
大兆進という実績は確固として持っています。

早速プレシーズンマッチのリヴァプール戦で得点、開幕戦での華麗なセットプレー
見る見る内に評価を上げている選手です

彼自身マルキーニョの役割をこなせないのではないか?と思われますが
彼自身も縦への推進力が非常に高い選手です。
マルキーニョに背負わされるタスクをゼーマンはこなせると思っているのでしょう。

ピアニッチ、マルキーニョを差し置いて、スタメンでの起用はその実績があるからこそだと思います。



実はそれはタクシディスに関しても同じく言える事なのです。

タクシディス自身も今回セリエAでの起用は初。
つまりデビュー戦にして先発での出場となったのです。

更にタクシディスに関して言うなれば、セントラルでの起用。
本来ならデロッシが中央に停滞し、ゲームコントロールをする場所での
仕事を任せられる事になります。

初のリーグデビュー戦にして、先発で、セントラルでの起用。

ゼーマンも思いきった配置に踏み切りました。
デビュー戦にしていきなりゲームメイクの根幹を担うポジションに抜擢なのです。
更にこのポジションは中盤のフィルターとして、守備参加への必要性も大きく有ります。

デロッシだからこそこなせていた、攻撃面と守備面の調整をするセントラル。
これには私自身も非常にビックリしました。


しかしタクシディス好きの盲目的な私が裏を返すなら

ゼーマンが誰よりも獲得を望んだ タクシディス というB上がりの21歳の選手は
セントラルをこなせる力が必ずあるのです。

ゼーマンは若手大好きな監督ではありますが
その仕事ができると分かった上での配置だと私自身は信じています。
セリエを30年以上渡り歩いてきた大ベテランは、この大一番に間違った采配をする危険性やリスクは十二分に承知しているでしょう。



若き二人のCMF、フロレンツィ


若き二人のCMF、タクシディス
























※タクシディスに関して熱く語り失礼しました




そして私が勝手に定義付けした通りに当てはめれば



  • ピアニッチをサブにした上での、バランス型パーティーへのシフト


この選択肢が正解となりました。


ゼーマンはマルキーニョというブラッドリーに比較的似た、フィジカルと機動力の両方を兼ね備えた人間をファーストチョイスせず、あくまで左はバランスの取れる選手を配置して攻め立てる。

という考えに至ったと此方でも考える事ができます。


フィジカルで拮抗する勝負であろう勝負に100%挑むのでは無く、あくまで自分達の牙城は崩さないで連携面を重要視して、バランスを取りながら挑む。


人選で戦局が予想できるというのは非常に面白い事ですね。
まさにこうしてスタメンを考えた時に、インテル戦への勝負の仕方が見えてきたのです。



デストロ右WGはいかに


デストローマ



















おそらくデストロも規定通り右WG起用したのは
対面するであろう長友、カンビアッソ、アルバロ・ペレイラにフィジカル的にも対抗できるのが
デストロ>ラメラ という判断をしたからと考えても良いでしょう。

しかし彼は本職はCFという事で、ここも疑問というより心配な点として上がります。
STの適正は無きしもあらずですが
見た目よりも足元が器用であると評判のデストロ君
プレシーズンマッチでは左WGをこなした事もあるので、できない事はないだろうという見方だろうと考えられます。

やはり焦点となるのは 
彼の右WG(おそらくSTに近い)ポジションの適正率がどうなのか?
そういう意味でも注目のポイントとなるでしょう。


確認点


  • 中盤三枚から織り成される、ゼーマンの戦略はいかに
  • 中盤三人の内、二人は21歳でA出場経験無し、A出場経験1回の若手を起用である
  • その若手二人のパフォーマンスはいかに
  • デストロの右WGはいかに
  • 主に中盤フィジカルの大激闘、大決戦が予想される戦いに。その結末はいかに


以上の5点(正確に言えば4点)を注目して私はこの試合を観戦しました。




フィジカル8兄弟。やっつけで作ってみました



さて第二節セリエAのカードの中でも一番の注目の一戦の結果はどうなったのでしょうか。

このセリエA随一のフィジカル軍団に立ち向かう事ができたのでしょうか。



考察感想編②に続く