さて新シーズンがついに幕を開けました。
R.ガルシア政権となって3季目の幕開けです。
昨季のカンピオナートの成績は勝ち点70で第2位でフィニッシュ。
この事から今季のCLストレートイン圏内の確保が約束され、昨季を終える事となりました。
悲願のヨーロッパコペンティションであるCLへの復帰を果たした14/15シーズン。
14/15シーズン開幕前は
「ヨーロッパで今一番美しいサッカーをしている」
「ローマの攻撃的なサッカーは欧州一に値する」
「今季ユヴェントスを抑え、スクデットを取るのはローマだ」
あ~なんとも聞こえの良い話題ばかり!
中には「久しく帰ってきて欧州と国内を両立できんのかよ」という声もありました。
などなど破竹の快進撃を続けた13/14シーズンでの結果と試合内容を受けて、14/15シーズン開幕時はローマは欧州で最も注目されたチームと言っても過言ではありませんでした。
そして14/15シーズンがどういう結果で終わったかは割愛です!
何とかカンピオナートでは2位の座を確保した成績を収めましたが、内容はティフォージの納得するものではありませんでした。
どんな事でも「良くなかった」「失敗した」「次に繋げたい」となれば、足りないものを補いますよね?
という事で超当たり前の事ですが、ローマも今季しっかり補強します!
14/15シーズンで足りなかったものを補う為に。
■ASローマ 15/16シーズン夏の補強
☆ イアゴ・ファルケ・シルバ ☆
公式発表声明文&ローマ初出勤時のファルケ |
●選手の詳細
・国籍 スペイン
・出生 ガリシア州ビーゴ県
・生年月日 1990年1月4日(現在25歳)
・前所属先 ジェノアCFC
・起用箇所 右ウィング・左ウィング・セカンドトップ・インサイドハーフ
・利き足 左足
●昨シーズンの成績
・セリエA
出場数:32試合/ゴール数:13G/アシスト数:5A
・コパイタリア
出場数:1試合/ゴール数:0/アシスト数:1A
・シーズン総スタッツ
出場数:33試合/ゴール数:13G/アシスト数:6A
●選手の特徴/スタイル
1.ボックス内、バイタル前を一番の得意ポジションとしている
2.ウィンガーという起用箇所以上にセカンドトップとしての色が極めて強い
3.中盤としての起用経験も豊富な為、ユーティリティ性が高い
●契約の詳細
・移籍形態
買取り義務付きレンタル移籍(1年間)
※公式戦1試合出場で買取り義務が発生。
自動的に 2020年6月30日までの5年契約となる。
・移籍金
レンタル移籍金:100万€
※買取り義務付きオプション行使時:500万€+ボーナス100万€
■イアゴ・ファルケという選手について
「スペインサッカー界最高の若手の一人という世界から、血も滲むような6シーズンへ」
バルセロナB時代 |
レアル・マドリードのカンテラ出身の選手で、その後はバルセロナのカンテラへと籍を移す。
バルセロナのカンテラでは7年間を過ごし、2008年バルセロナBがリーガ2部への復帰を果たしたと同時に、ファルケも才能と実績を買われバルセロナBの選手として昇格を果たす事になる。
開幕戦にて早々にゴールをマークするものの、その当時バルサBを率いていたジョゼップ・グアルディオラがトップチームの監督に就任し、後任としてルイス・エンリケがバルサBを引き継ぐ事に。
ここが彼のターニングポイントの一つで、ポゼッション主義を貫くエンリケの戦術スタイルや監督本人との人間関係が上手くいかず、そのシーズン内で即座に戦力外通告を受ける事になる。
ナショナルキャリアでは、U-17時代にUEFAU-17 欧州選手権で優勝メンバーの一員の中でも、中心選手の一人であった。(ボージャン・クルキッチとは同年代の同期である)
スペインアンダーカテゴリー時代 |
才能や評価は大変高かった為、バルセロナを出る際には多くのクラブがファルケの獲得に向けて本腰を入れた。
その後キャリアの身を置く事になったのは、イタリアの名門ユヴェントスFC。
獲得当時はトップチームへは昇格せず、プリマヴェーラへの在籍となる。
プリマヴェーラ内では早々に主力として定着し、その年、ユヴェントスプリマヴェーラは国際ユーストーナメントにて優勝を果たす。
同シーズン内にはトップチームにも呼ばれ、初デビューを飾ったが、その後はプリマヴェーラとトップチームを行き来する生活が続き、出場機会の確保の為から10/11シーズンにはスペインのビジャレアルBへレンタルで移籍をする事になる。
ビジャレアルBでは11Gをマークする結果を残したが、買取りオプションは行使されず、シーズン終了後にはユヴェントスへレンタルバックをする事になる。
11/12シーズン。イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーFCへレンタルで移籍をする事になる。
しかしシーズンの冬のマーケットにて、サウサンプトンFCへローンに出される事となる。
12/13シーズン。サウサンプトンFCで結果を残せなかったファルケは、再びスペインへ戻る事に。
当時リーガ2部のUDアルメリアへ1年間のレンタル移籍をし、シーズントータル8G11Aの活躍を果たし、結果というものを残した。
13/14シーズン。スパーズの大型投資と大量補強の影響もあり、すぐさまイングランドへの復帰を果たす事はできなかった。そして当時リーガ1部のラージョ・バチェカーノへ1年間のレンタル移籍をする。成績としては前シーズンに比べて大きく見劣りをする、28試合と3Gの実績となる。そして同シーズン中にラージョは買取りオプションの行使をしなかった。
14/15シーズン。ついにトッテナム・ホットスパーから戦力外通告を受けたファルケ。
イタリアの古豪 ジェノアCFCが完全移籍でファルケを獲得。
ここまでが主なキャリアの経歴となっている。
「再びイタリアの地へ。ジェノアでの華麗なる大復活」
14/15 ジェノア時代 |
救いの手を差し伸べたのは、イタリアが誇る古豪ジェノアCFC。
これまで数多くのクラブでファルケはLWGとして起用されていた。
才能と実力の高さを夏のマーケットで獲得時から確信していた、ガスペリーニ監督。
14/15セリエAの開幕時もガスペリーニは当初ファルケをLWGで起用。
※これまでのキャリアでも幾度かLWGとして起用された事はあったが、固定される事は無かった
身体の使い方が非常に上手だった為、左サイドで利き足(左)から繰り出される逆サイドをつくシュートが持ち味だった事から左サイドでの起用が当たり前のようになっていた。
しかしガスペリーニはそこに修正を加え、本来左足が活きる場所である右サイドにファルケの位置をコンバート(というより基本に立ち返ったポジション起用を行った)した。
するとコンバート直後こそは中々結果を残す事ができなかったものの、すぐさまRWGで結果を残し始める事になる。
LWGでの期間が長かった事から、RWGにポジションを変えた際、逆足である右足の使い方も非常に向上している事が大きな武器となった。コンバートした事により、利き足本来の利点が活かされる事に加え、右足を使う事によって様々なシーンに対応できる選手となった。
そしてシーズンを終了時には、クラブ内でトップスコアラーとなり、自身のプロキャリアの中でもシーズン累積得点数が最高の数字をマークする事となった。
その活躍から、セリエA内でも大きな注目を浴びる事になる。
その後、2015年7月1日 ローマへの移籍が発表される事となった。
元々は名門バルセロナカンテラの出身で、バルサBに昇格した時やユヴェントスへ移籍をした時には"スペインサッカー界最高の若手の一人"とまで評価を受けていたファルケ。
ユーヴェプリマでの活躍がキャリアの一度目の山を迎え、その後はスペイン→イタリア→イングランド→スペイン→イタリアと、ユーヴェプリマ時代を入れると7シーズンの間で8回以上も移籍を繰り返す事になっていた。
18歳からのプロキャリアが始まって、目まぐるしい環境の変化を経験し、多くのクラブを渡り歩き、多くの挫折を味わってきた。
再び訪れたイタリアの地で素晴らしい再生と復活を果たし、25歳というこれからキャリアの絶頂期を迎える直前に、ローマというクラブの一員となる事となった。
そんなファルケさん。トレーニングキャンプ中での入団会見で熱い想いを語っています。
■会見時のインタビュー全文
5日午後 キャンプ地ピンツォーロでの会見 |
僕はローマに来れて幸せだと、監督とクラブのメンバーに伝えたよ。
ローマで試合に出られる事が今からもう待ちきれないね。
この2年間はユヴェントスが常に上にいた。
僕たちの目標はそれに到達する為の努力をしなければならない事だ。
僕がこれまで良い仕事をし続ける事ができた事に対して、ジェノアというクラブには本当に感謝をしなければならない。
この偉大なクラブでプレーをするチャンスを得る事ができたのだから。
ローマのようなビッククラブがどのような選手を欲しいのか、僕は理解している。
僕自身クラブに奉仕し、しっかりプレーする事ができると確信をしているさ。
僕のポジション?最近ではガスペリーニは僕を右WGで起用したね。
でもガルシアが求める事を僕はするつもりだ。
ローマのような偉大なクラブでプレーする事への圧力はもの凄いものだけど、それでも素晴らしい時間が待ってるさ。
僕がイタリアに着いた時(昨年)は誰もが僕に疑問を抱いていたけど、僕はジェノアで上手くやる事ができたし、ローマでも同じ事ができるという事を証明してみせる。
僕の個人的な目標?勝つ事だね。
ローマのようなクラブは常にトップに居続けなければならない。
僕たちは自分自身の事に集中して、改善に努めていかなければならない。
僕たちは偉大な歴史を持つクラブで、競争力を持っているのだから。
■これからローマで求められる事
背番号14番。入団会見時 |
これは私の持論になります。
獲得の背景には、ローマが今季バイタル前とボックス内でのプレーというものに注力しなければならないという観点からの補強だと考えられます。
4-3-3という基本フォーメーションで戦ってきた2シーズンもあってか、現在所属している前線の選手にはWGというポジションに値できる選手は多く存在しています。
(EX:リャイッチ、ジェルビーニョ、イトゥルベ、イバルボ、フロレンツィ)
しかしWGという選手である以上、サイドラインからの中央(ボックス内orバイタル前)への侵入は求められる動きの一つになってきます。どの選手もバイタル前まで動く事ができても、その地点からのシュートの精度が低かったり、ボックス内⇔バイタルの両面を見ながら、前線の一枚として擬似的なストライカーとしてもゴールを狙える選手というのは誰一人として居ませんでした。(中でもイトゥルベが今後候補になる可能性は高いと考える。)
そこでバイタル前とボックス内両面で働ける選手が必要となってきます。
そこでWGで有りながら、STとしてもサイドから中央で攻撃のポイントを自ら作る事のできるファルケの出番という事です。
関連メディアの予想では、今季ガルシアは2つのフォーメーションを併用していくとされています。
十八番の4-3-3は一つとして、4-3-1-2などの中央に枚数を特化し、ストライカー個々の能力を活かしての2トップに得点を委ねる陣形も予想されます。
ファルケはユーティリティ性の高い選手でも有るので、柔軟に対応できるところは大きなポイントの一つになるでしょう。
戦術の話とは離れて、個人的に面白いと思うのは、やはりスペイン人という国籍の面です。
かつて11/12シーズンにローマはアメリカ資本を投入した新体制になり、ルイス・エンリケの元、バルセロナ仕込みのポゼッションサッカーをイタリアで展開しようとしていました。
そこでエンリケはスペインから、ボージャン・クルキッチ、ホセ・アンヘルの当時スペイン若手でも賞賛を受けていた2人を補強しました。
しかしシーズンの結果は見事に失敗。
獲得されたボージャンやアンヘルもパフォーマンスを発揮する事ができませんでした。
"スペイン人はローマで活躍できない"というレッテルまで貼られる始末となりました。
そんな中、今回ローマに来るファルケはかつてエンリケに捨てられた選手です。
この選手がローマで活躍できれば、何かこうギャフンと言わせられるような気がしますね!笑
そして歴代3人目のスペイン人選手としても、これまでの二人とは違ったどういうキャリアをローマで辿っていくのかという点も楽しみです。
現在ローマはメインストライカーのCF獲得に躍起になっている最中です。
同時に獲得の発表がされたベルトラッチ(現在はミランへ完全移籍)の話題で影に隠れている感が否めませんが、きっとローマの力になってくれる選手であってくれる事を期待したいですね。
元天才雑草魂キャリアのファルケを全力で応援しましょう。
Forza!Falque!
キャンプ地へ向かう前の電車内にて |